令和6年度新人研修会後の会食会にて(職員たちと役員 左前から二人目理事長・常務理事)
「三度炊く飯さえかたしやわらかし、思うままにならぬ世の中よ」
平素は当会福祉サービスを利用しているお子様やそのご家族、障がい者福祉サービスをご利用している皆様、さらには関係機関の皆様に大変お世話になっております。
当会は平成18年4月にNPO法人「地域ふれあいステーションひだまり」としてスタートを切り平成27年4月に「岩手ひだまり会」として社会福祉法人となりました。事業所数は奥州市と北上市に児童通所事業所である「放課後等デイサービス」が8事業所と、重度心身障がい児と医ケア児童を対象とした「重症児放課後等デイサービス」が2事業所、障がい者福祉サービスとしては就労継続B型支援事業所1事業所、生活介護支援事業所1事業所、さらには相談支援事業所が北上・奥州市に2事業所と計14事業所と大所帯となりました。これもひとえに応援していただく皆様あってのことだと感じております。誠にありがとうございます。
さて、開設して早20年近くになりますが、いまだに理想である個別療育と集団療育が双方効果的に提供ができて、早期に子供たちの社会性を育み、親も子も安心して暮らせる自立生活への確立に日々苦慮しています。乳幼児への早期支援の「ポーテージ法」やすべての世代への支援方法である「ティーチプログラム」、そして、それらの共通項としての「応用行動分析」と中々難解で地道な努力が必要であることを職員に説いていますが、それでも世に出せる「セラピスト(療育者)」はいまだに数名のみの状態です。
世はスピード時代と言われています。マニュアル等の標準化を急ぎ10年から3年で一人前にと一部では言われています。私たちは現在、真のセラピスト(療育者)の養成を進めておりますが、なかなか難しいものです。少なくとも10年は必要であると感じています。しかしながら、人の気持ちというのはうらはらで、3年しかたっていないのに「個別支援だけやりたい」とか「ソーシャルワーカーとして相談援助業務をしてみたい」と辞めていく職員がいます。残念ながら辞めた後「教えてください、このケース」と当会を訪れるOB?もいますが丁重にお断りしております。全体像を把握しなければ療育方法のアドバイスも安易にできないからです。ましてや個人情報の承諾もなく個人の支援情報は提供できません。当会は退職者は少なく(令和5年度5%)『職員の心理的安全性』を重視した人的資本経営に取り組んでおりますが、それでも、さきほど述べた辞めていく職員に対して「もう少しだよ、我慢して」とも止めきれない私たちも忸怩たる思いでおりました。
そのような中でも、地道にコツコツと努力を積み重ねて地域で一番信頼される法人に向けて歩みを止めないつもりです。以前当会ベテラン女性職員に尋ねたことがあります。彼女は感情のコントロールがつかずその代替行為としてを叩く噛みつくしか手段がなかったことによる他害など生傷がたえませんでした。時には労災になるくらいにその子に噛みつかれたこともありました。すぐさま病院で治療して、私から見ても見るに堪えないその傷に驚き「その子を嫌いになったでしょ?支援したくなくなったでしょ?」と尋ねた時、彼女は笑顔で「とても痛かったですが、やっぱりかわいいです、嫌いになれません」と笑顔で答えていました。その子が問題を起こすたびに職員はその子に自分の心の動きを振り返させ、どこが悪かったのか、そういう時は、どうすれば良いのかと真摯に向き合いその子に気づかせ最後は自ら相手にごめんなさいと一緒に謝ってあげていました」彼女からの、この心理的支援の繰り返しを重ねた結果、その子は思春期に大きく成長し、今や立派に自立した青年となりました。たまに彼は彼女や当時の職員に会いに自転車で遊びに来てくれるそうです。彼にとって「ひだまり」は成人し卒業した後でも「たまに行きたくなる、自分を認めてくれる居場所」であり続けているのでしょう。ありがたいことです。
私の信条に「三度炊く、めしさえ固しやわらかし、思うままにならぬ世の中よ」という歌があります。これは芸術家であり美食家であった故北王子魯山人がうたった歌です。「慣れているつもりでも一度一度の炊いた米さえ適度な硬さを出すのは難しい、この世の中も思い通りにならないことが当たり前なのだということを説いています。だからこそ、常に慣れず、一回一回の支援に試行錯誤を重ねその子にあった支援を重ねていこう、それこそが我が法人の取り組むべき未来であると日々思いを募らせています。
社会福祉法人岩手ひだまり会
理事長 大沼 一裕
千葉 正睦 認定こども園・幼保連携施設経営者
鎌田 卓也 会社役員 地域の経済団体代表
古川 守人 無 職 地域の福祉関係者
那須 薫 団体職員 地域の福祉関係者
千田 光久 大学院教授 福祉教育者
及川 敏幸 団体職員 福祉行政経験者
菊池 恵美子 農業 地域の福祉関係者
佐藤 慎太郎 団体役員 地域の福祉関係者
■名称 | 社会福祉法人岩手ひだまり会 |
■所在地 | 〒023-0828 岩手県奥州市水沢東大通り二丁目4番3号 |
■電話番号 | 0197-47-4222 |
■FAX番号 | 0197-47-4223 |
■代表者 | 大沼 一裕 |
■設立年月日 | 2003年 4月1日 特定非営利活動法人地域ふれあいステーションひだまり設立 2015年 4月1日 社会福祉法人岩手ひだまり会へ移行 |
■活動内容 | 1.放課後等デイサービス事業 2.児童発達支援事業 3.保育所等訪問支援事業 4.日中一時支援事業 5.生活介護事業 6.就労継続支援B型事業 7.相談支援事業 |
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社会福祉法人岩手ひだまり会定款(R2.12.18〜) (2020-12-18・331KB) |
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役員等報酬規程(H31.1.1〜) (2018-12-27・121KB) |
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役員の報酬等に関する規程(H29.4.1〜) (2017-07-20・104KB) |